
保険は時代のニーズに合わせて常に変化しているもの。2020年になって保険業界のトレンドを把握すれば、おのずとどんな保険商品が自分に合っているか分かりやすくなる。
是非、最近の保険業界の事を知識として知っておこう。
目次
通院保障の充実
年々入院日数が減少している
最近では、毎年の様に入院日数の減少が見られる。厚生労働省のデータを調べてみたところ、1999年は27日だったのに、2016年では平均16.2日まで減少している。
下のデータを見ると、毎年少しずつではあるが確実に減少傾向にある。医療の進歩や医療費削減の流れなのか右肩下がりになっている。
このような背景からか、医療保険の商品も入院や手術だけでなく、通院による治療を手厚く保障する保険商品が増えてきている。
アクサ生命の一例
例えば、下記のアクサ生命の「スマート・ケア」を見ると、日帰り手術や通院による治療をセールスポイントにしている商品もある。
このスマート・ケアでは、特約オプションではなく主契約に入院前後や手術後の通院に対して基本給付金と同額の通院保障が付いている。
日帰りを含む1日以上の入院には、入院治療一時金(1回5万円)と、入院もしくは通院一日辺り5000円が保障されている。
アフラックの一例
他にも下記のアフラックの「ちゃんと応える医療保険EVER」等でも、通院治療の保障を大きくしている。
今までの通院給付金は、入院給付金の6割だったが、通院でも入院給付金と同額が支給されるような商品に変わってきている。
この様に、時代の流れと供に通院治療に対する保障に各社が力を入れてきているのが分かる。
新たな外貨建て保険の登場
保険金額が外貨ベースで年々増加
外貨建て保険は、最近注目されている保険商品のひとつだが、そんな中で引受基準が緩和された商品も出てきている。例えば持病有りでも申し込みが可能な場合もあるのだ。
例えば、ソニー生命の「米ドル建一時払終身保険」には無告知型があり、検査や告知がなくても契約できるものが登場してきている。
50歳から90歳までが加入可能な一時払い保険で、契約から15年間は一定額ずつ増加するしくみになっている。
保険料に影響する死亡率の変更
5%から10%の保険料が改定の見込み
保険会社の保険料に影響を与えるのが「標準死亡率」。各保険会社は、この標準死亡率を基準にして予定死亡率というものを設定している。
この標準死亡率を出しているのが、日本アクチュアリー会という所。今回、この標準死亡率が変更されたことによって保険会社の保険料に影響がでてくる。
例えば2007年と2018年の死亡率を比較すると、50歳男性は2007年は百人あたり0.365%で2018年には0.285%に減少している。
男女問わずに2007年よりも死亡率が減少している。この現実によって各保険会社の「予定死亡率」も変わる。
死亡率が低くなるという事は、保険会社が保険金を支払うリスクが減少する事と同じなので、死亡保険の保険料が少なくて済む。
今後の流れとしては、死亡保険の保険料金は引き下げられ、逆に医療保険や介護保険の保険料がその分増加する事が予想される。
精神疾患サポート商品が増加
近年増加傾向にある「精神疾患」。そんな時の為に、その精神疾患によって仕事をやめなければいけなくなったりした時の保障にスポットを当てた保険商品が増えてきている。
例えば日本生命の「日生就業不能保険」やチューリッヒ生命の「くらすプラス」等は、特約ではない主契約に精神疾患による入院(60日以上)が保障されている。
他にも、特約を付ける事によって精神疾患による入院が保障される保険商品が増えている。
入院時の食事代と光熱費が上がる?
2017年の10月から65歳以上の人の入院時の自己負担額が一部値上げされた。
値上げの対象になったのは、介護保険施設の医療療養病床に入院する場合の居住費。自宅で光熱費を負担しながら療養している人とのバランスを考慮して公平を図るという目的の値上げ。
食事代についても、2016年4月から1食360円に値上げされたが、2018年4月からはさらに100円値上げになって、1食460円の自己負担になる。1日3食分で1380円の負担額になる。
つまり、65歳以上の人が介護保険施設の医療療養病床に入院する場合は、食事代1380円プラス居住費370円の1日合計1750円の自己負担額になる見込みだ。
高額医療費がまた見直される?
70歳以上の上限額が引き上がる
017年8月から、70歳以上の高額療養費の上限額が一部引き上げられた。
70歳以上で、課税所得が145万円以上の人は今まで月44400円だったものが57600円に、課税所得が145万円未満の一般の人が月12000円から14000円引き上げられた。
これは70歳以上の人への優遇が大きくなっているため、高齢者でも負担能力のある人には負担をお願いしようという世代間の公平を目的としたものだ。
さらに2018年8月からは、現役並みの所得所については現役世代と同様に課税所得額によって細分化し、上限額が引き上げられる見込みになっている。
今後の流れとしては、年齢はあまり関係なく所得の大きさによって負担額が決まっている事になる。
健康であれば保険料が安くなるプランが登場
近年、健康な人ほど保険料が安くなる保険商品が注目されてきている。
東京海上日動あんしん生命の「あるく保険」では、1日あたりの平均歩数が8000歩に達したら、その分保険料を割り引くという今までに無かった様な発想の保険商品を提供している。
契約者の健康増進や生活習慣の改善への取り組みをサポートする事によって、大きな病気を防ごうという趣旨であり、NTTドコモと共同で商品開発をしたようだ。
専用の端末とアプリによって日々の歩数を計測、計測単位期間を設定し、1日辺りの平均歩数が8000歩以上になった場合に健康増進還付金が支払われる仕組みになっている。
他にもメットライフ生命の「スーパー割引定期保険」の様に、喫煙の有無などによって保険料が安くなる商品も存在している。
まとめ
保険業界は常に時代の流れと供に、どんどん新しい商品が誕生してくる。つねに最新のトレンドを把握しておく事は非常に重要なので、是非これらの事は念頭に置いておいてほしい。