液状化現象や垣のクラック

今回の記事は、地震によって、

  • 自宅が液状化現象で傾いてしまった
  • 自宅の垣にクラック(ひび割れ)が入ってしまった
  • リフォーム業者から、「あなたは地震保険金を請求出来ますよ!」と言われている

上記の様な事態になってしまった場合、地震保険金の請求対象になり得るのかどうか?をテーマに解説させて頂きます。

自宅の液状化現象は、地震保険の対象になります

地震保険の保険事故は、地震もしくは噴火又はこれらによる津波を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没又は流失が該当します。(地震保険に関する法律2条2項2号)

液状化現象は、地震を間接的な要因とする損壊又は埋没と定義されるので、液状化現象による建物の損害は、地震保険の補償対象になります。

自宅の垣にクラック(ひび割れ)が入った場合は、補償対象になるの?

地震によって、建物に明らかな損害が生じた場合、普通は地震発生から間もなくして、被保険者が損害保険会社に対して、事故報告を行います。

また、大きな地震だった場合、被保険者は避難行動を伴うため、直ちに事故報告ができないことも多いですが、この様な事例では、当該地域の建物は損傷している可能性が高く、生活が落ち着けば事故報告がされることになります。

しかし、地震によって建物にクラックが生じる場合、建物に損傷はあるけど、建物の使用に支障がない事例もあります。

このような場合、たまたま建物を点検して初めて気が付く事も多いし、そもそもクラックによる損傷が、地震保険の対象になっていることを知らない事例も多いです。

前提条件をおさらいすると、保険事故の発生は、地震保険金の請求原因事実でもあるので、当該クラックの原因となった地震を被保険者側で特定する必要が出てきます。

大震災の直後や、全損・大半損の損傷が生じていれば特定は簡単にできますが、原因となった地震の発生前後に複数の地震が発生していたり、小半損・一部損の事例で、そもそも原因となった地震が明確に特定できなかったりする場合は、特定するのが難しくなります。

また、原因となった地震から長期間経過している場合、自然損耗との区別がつかなかったり、既に消滅時効期間(3年)が経過している地震が原因である可能性があったりするという問題も出てきます。

この様な事例では、損害保険会社や査定担当者によってスタンスに差異があり、契約者保護の観点から認定方向で検討する場合もあれば、逆に厳格に検討する場合もあります。

しかし、上記にご説明したとおり、クラックなど被保険者の知識・認識不足で地震保険金の請求が可能なのに、請求していない事例が意外と多いことを考慮し、契約者保護の観点から、地震の特定が明らかでないとしても、地震保険金の支払いを積極的に検討する事例は多くなっています。

地震保険金を悪用する業者に注意!

もっとも、このような問題に着目したリフォーム業者が、東日本大震災の後、各建物を無料点検し、クラック等を発見したら、損害保険会社に事故報告を促し、支払われた地震保険金でクラックの修理を含めたリフォームを行わせるという、一種の点検商法が増加してしまったこともあります。

リフォーム業者の中には、いい加減なリフォーム工事しか行わない等の強引な手法を用いているので、損害保険業界はこの様なリフォーム業者を警戒し、日本損害保険協会では、「(保険金が使える)という住宅修理サービスでのトラブルにご注意を!」というリーフレットを配布するなどして、抑制に努めています。

リフォーム業者が絡んだ請求の場合、被保険者自身ではなく、リフォーム業者が保険金請求の手続きを行っていたり、損害査定の際にリフォーム業者が立ち会ったり、リフォーム業者から彼ら独自の損害査定書面が提出されたりするので、実際に業者が介在しているかは、簡単に分かる場合が多いです。

損害保険会社によっては、その妥当性は別として、リフォーム業者が関連する地震保険金の請求については、厳格に損害査定を行うケースが増えてきています。

実際に、リフォーム業者による損害査定書面は、明らかに3年以上前の地震だったり、自然損耗であったりするクラック等も、「直近の地震による損傷」として記載するケースも少なくなく、必ずしも損害保険会社の対応に怠慢があるわけではないのです。

そもそも根本的な問題は、地震保険金を請求できる立場なのに、その知識や認識不足で保険金請求を行わないままになっている被保険者が現実的にいることです。

そこにリフォーム業者がつけ込んできているのであり、損害保険業界には保険金の請求漏れについて、今まで以上に積極的な広報活動を行う事が期待されています。

まとめ

今回のまとめは以下のとおりです。

  • 液状化現象によって自宅が損壊したり埋没した場合は、地震保険で補償される
  • 地震保険の保険事故の特定は、保険金請求者側が主張立証責任を負うので、いつの地震によって発生したか分からない場合は、地震保険の補償対象にならない可能性もあります。(※契約者保護の観点から支払われる事もある
  • 垣自体が地震保険の対象に含まれる場合だったとしても、地震保険の損害認定は、建物の主要構造部の損害割合によって決められるので、垣だけの損害の場合には保険金は支払われません。
  • 一般に、垣に損害が生じている場合には、建物にも損害が生じている可能性が高いので、建物についての損害認定を行う必要がある
  • 地震保険金を請求する立場の人を狙って、リフォーム業者がつけ込んでくるので、注意する必要がある

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