地震保険の存在意義

今回は地震保険の第1回目の記事となります。

主に、地震保険の存在意義とは何か?何のために地震保険があるのか?をテーマに解説させて頂きます。

日本の火災保険や地震保険の仕組み上、火災保険では地震による損害は免責(火災保険金は支払わなくてよい)になり、その代わりに地震保険の範疇で地震の損害をてん補するというルールになっています。

つまり、火災保険だけでは地震による損害をカバーできないのです。

地震保険と火災保険は別もの

保険法上、保険事故に地震を含む火災保険の存在自体は認められているのですが、日本国内では、火災保険と地震保険でカバーできる範囲が分かれています。

火災保険では、地震による損害は免責となり、地震保険に加入しなければ損害てん補されない仕組みになっているのです。

明治時代から火災保険は、地震による損害を免責としてきた歴史があります。

その理由は、大規模な地震が発生すると、損害保険会社はその支払能力を超える損害保険金の支払義務の負担のリスクが高くなり、結果的に倒産しかねないのが理由です。

しかし、地震による損害をてん補するニーズは確実に存在するわけで、実際、1923年に発生した関東大震災では、火災保険金が免責になったために、損害保険会社に社会全体から一斉に避難が浴びせられました。

この時は、苦肉の策で、損害保険会社側が保険契約外の保険金額の10%を上限とした見舞金を支払った事実があります。

その後も火災保険の地震免責ルールは維持され、その一方で、地震を保険事故とする損害保険商品が存在しなかったために、地震による被災者の生活は安定しませんでした。

そこで1964年6月16日に発生した新潟地震をキッカケとして、当時審理中だった保険業法の一部を改正する法律案について、

我が国のような地震国において、地震に伴う火災損害について保険金支払ができないのは、保険制度上問題である。

さしあたり今回の地震災害に対しては、損保各社よりなんらかの措置を講ぜしめるよう指導を行い、さらに既に実施している原子力保険の制度も勘案し、速やかに地震保険などの制度の確立を根本的に検討し、天災国ともいうべき我が国の損害保険制度の一層の整備充実をはかるべきである。
昭和39年6月19日第46回衆議院大蔵委員会会議録より

と付帯決議がされました。

さらに上記に関連して、

この新潟地震で火災を起こし、大きな損害を受けた昭和石油や一般住宅には、地震特約の火災保険が殆ど掛かってなかったから、今回の被災者には損害保険金が皆無といっていいほど支払われてないことになっている。

日本の様な地震大国において、地震に伴う火災損害について保険金支払いができないというのは、保険制度上ゆゆしき問題であり、本委員会においても、本法案審議に際して参考人も招致して熱心に討議した問題です。

つきましては、今回の被災者に対して、損害保険業界全体で見舞金を贈るなど、何らかの措置を講じることが適切と考えられるので、政府において真剣に対処することを要望するとともに、さらにこの災害をキッカケにして地震保険の新設を急ぐべきと考えます。

原子力保険については、既に制度化されてその実施を見ているのですが、この制度も勘案しながら政府においては迅速に地震保険などの制度の確立を根本的に検討し、天災国である我が国の損害保険制度の一層の整備拡充をはかるべき。

と会議録でその趣旨が説明されています。

上記の付帯決議を受けて、当時大蔵大臣だった田中角栄氏の主導で、保険審議会に対して諮問が行われ、1965年4月23日付の保険審議会「地震保険制度に関す答申」に基づき、1966年に「地震保険に関する法律」が制定され、現在の地震保険制度の仕組みが整えられる契機となりました。

この様な歴史を反映して、地震保険法には、「保険会社等が負う地震保険責任を政府が再保険することにより、地震保険の普及を図り、地震などによる被災者の生活の安定に寄与することを目的とする。」と第1条に規定しています。

地震保険は地震保険法に基づく保険商品であり、再保険制度が共通していることから、保険料や約款も共通になっています。

地震保険の概要

地震保険の概要は以下の様に決まっています。

  • 保険の対象:居住用建物、生活用動産
  • 法的性質:損害保険中の費用保険
  • 保険事故:地震もしくは噴火またはこられによる津波を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没又は流失
  • 加入方法:火災保険に自動付帯
  • 保険金額:火災保険の保険金額の30%~50%。ただし、建物は5000万円、家財1000万円が限度額となる。
  • 支払基準:全損は保険金額の100%、大半損は保険金額60%、小半損は保険金額の30%、一部損は5%(いずれも時価額が限度になる)
  • 保険期間:1年~5年

Twitterでフォローしよう