
今回は、火災保険の契約の終了の仕方についてのお話です。
どのような状態になれば、火災保険が法的に終了となるのか?をテーマに解説させて頂きます。
基本的に、火災保険が終了するパターンとしては、以下の4つがあります。
- 解除
- 無効・取り消し
- 失効
- 保険期間の満了
解除の場合
保険契約者による解除としては、保険法上では以下の規定があります。
- 保険者が任意に契約を解除した場合(保険法27条の任意解除権。この条件は任意規定なので、契約で任意解除権を定めないことも許されます)
- 保険者が破産手続き開始決定を受けた場合(保険法96条1項)
一方、保険者による解除としては、保険法上で以下の規定があります。
- 告知義務違反による解除(保険法28条)
- 危険増加による解除(保険法29条)
- 重大事由による解除(保険法30条)
これらの規定は、全て片面的強行規定と定義されていて、この規定以外の事由による解除を排除しているわけではなく、民法等によって解除権が認められる場合もあります。
例えば、保険料の不払いによる債務不履行解除(民法541条)などがあります。
その他、約款で解除権を規定することも、上記の片面的強行規定に反しなければ認められています。
無効・取り消しの場合
火災保険契約が無効・取消事由によって契約が終了するのは他の一般的な契約と同じです。
ただし、保険者が、保険契約者等による詐取又は強迫(無理に要求すること)を理由として意思表示を取り消した場合は、保険者は保険料返還義務を負わなくてよくなります。(保険法32条1号)
また、保険契約者が契約の申込み、又はその承諾をしたときに、保険契約者又は被保険者が既に保険事故が発生していることを知っていたために、責任遡及条項(保険会社の責任開始の約款規定)が無効とされる場合(保険法5条1項)には、原則として保険者は保険料返還義務を負わなくてよくなります。(保険法32条2号)
ただし、保険事故の発生を知って保険者が契約の申込み、又はその承諾をした場合は、保険料の返還義務を負うことになります。(保険法32条2号の但し書き部分)
失効の場合
保険者が破産手続きの開始決定を受けた場合に、保険契約者が保険契約を解除しなかったときは、この保険契約は破産手続開始決定の日から3ヶ月を経過した日に効力を失います。(保険法96条2項)
また、保険期間中に被保険利益の消滅等により保険事故発生の可能性が消滅した場合も、契約は失効します。
例えば、保険の対象の建物が全損になったりすれば、被保険利益がなくなって保険契約は失効することになります。
保険期間の満了の場合
契約していた保険期間が満了すれば、保険契約は当然ですがその時点で終了することになります。
まとめ
火災保険が終了するパターンは大きく4つあることがお分かり頂けたと思います。
契約者が破産してしまった場合に保険契約が失効してしまうことは、意外と知らなかった人も多いのではないでしょうか?
また、保険契約時点で、既に保険事故が発生していることを隠して契約書にサインしたとしても、告知義務違反などで契約解除になるので、保険の契約時はお互いにルールや法律を遵守して契約しましょう。