保険の対象が【違法建築】

保険の対象となっている建物が、【違法建築】だった場合、火災保険金は支払われるのかどうか?をテーマに解説させて頂きます。

違法建築は免責の可能性が高い

結論から申し上げると、もし保険の対象が違法な建築物だった場合、結果として保険会社は保険金の支払いを拒否する可能性が高いです。

「免責規定を満たしている」という理由を付けて免責を求めてくるでしょう。

例えば、損害保険料率算出機構の約款3条(1)①はには以下の様な規定があります。

火災約款3条(1)①

当会社は、次にいずれかに該当する事由によって生じた損害に対しては、保険金を支払いません。

  1. 保険契約者、被保険者(注1)またはこれらの者の法定代理人の故意もしくは重大な過失または法令違反

(注1)保険契約者または被保険者が法人である場合は、その理事、取締役または法人の業務を執行するその他の機関をいいます。

上記の様に規定されています。

法令違反によって生じた損害又は費用に対する保険金を免責としているのです。

ここでいう「法令違反」とは、消防法、建築基準法等の事を意味します。

例えば、爆発物取締罰則(明示17年太政官布告第32号)に違反して自宅で爆発物を使用した結果、保険の対象である自宅が爆発した場合、故意または重過失で免責になるし、法令違反としても免責になります。

ただし、法令違反による免責は、これが事故の直接的原因になっている場合に限るものであり、法令違反自体が保険事故の発生に無関係の場合は、免責にはなりません。

まとめ

今回のテーマである「違法建築だった場合は免責になるのか?」について考えてみると、保険の対象となる建物が違法建築だったとすると、保険契約者等が当該建築に関与しているのであれば法令違反になりますが、これによって損害が発生しなければ免責にはなりません。

例えば、放火で自宅が全損になった事例では、違法建築とは無関係に放火による全損なので、もともと法令違反免責は成立しないことになります。

これに対し、放火で自宅が全損になってしまったけど、「違法建築でなければもっと迅速に消火作業が進み、一部損で済んだ事例」をイメージした場合、一部損で済んだのが違法建築が原因で全損に損害が拡大しているので、この損害の拡大部分と法令違反との間に相当な因果関係が認められ、被害の拡大部分については法令違反免責が成立すると考える事もできます。

しかし、違法建築かどうかとは関係無く一部損は生じるわけなので、一部損についてまで法令違反免責は成立しないと解釈するのが通常の考え方になるでしょう。

今回の結論では、保険契約者が違法建築に関与した建物であれば保険会社は免責になる可能性が高いですが、違法建築であったとしても、保険契約者本人が建築していたものでない建物の場合、損害の一部は保険金の支払いが認められる可能性が高いということになります。

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