準拠法や管轄裁判所

仮に火災保険金請求訴訟になった場合、従うべき法律(準拠法)や管轄裁判所はどこになるのか?をテーマに解説させて頂きます。

準拠法と管轄裁判所の解説

基本的に、約款上では準拠法は日本法と規定されています。

管轄に関しては、被告になる保険会社の本店所在地、事務所及び営業所並びに原告である請求者の住所又は営業所を管轄する地方裁判所になります。

約款に管轄の規定が明記されているわけではないので、民事訴訟法に従って、土地管轄事物管轄にて管轄が決定されます。

土地管轄

①:普通裁判籍による管轄

被告である損害保険会社の主たる事務所又は営業所になります。

被告の本店所在地は当然にこれに含まれるとして、問題になるのは、損害保険会社の支店や支社、損害サービス拠点などが営業所に該当するかどうかです。

この点については、生命保険会社の熊本支社が事務所又は営業所に該当するかが争われた事案(昭和50年9月12日の福岡高裁)では、「事務所または営業所とは、業務の全部または一部について、独立して統括経営されている場所であることを要する」、「保険業務の基本的業務行為である保険契約の締結並びに解除、その復活の承諾、保険事故があった場合の保険金の支払い業務を独立して行う権限を有しないことが認められるから、抗告人会社熊本支社を保険契約に関する業務を独立して統括経営している場所とみなすことはできない」と判示されています。

そうすると、会社によっても違いますが、支店や支社及び損害サービス拠点は、保険金の基本的業務行為の一部を独立して行っている場合が多く、事務所又は営業所に該当するケースが現実的には多いのではないかと思います。

もっとも、以下の②の特別裁判籍により原告の住所又は営業所を管轄する裁判所で訴訟提起が可能なので、実際は支店などで管轄を作る必要性はほとんどありません。

②特別裁判籍による管轄

民事訴訟法5条1号により、財産権上の訴えは、義務履行地を管轄する裁判所に管轄が認められます。

現在の約款では、支払場所の規定はないので(生命保険約款では支払場所の規定があります。)、保険金支払債務は持参債務なので、被保険者の住所又は営業所が義務履行地になり、その地を管轄する裁判所が特別裁判籍による管轄裁判所となります。

※管轄に関しては、日本加除出版の「リーガルガーデン」でも調べる事が可能です。

事物管轄

訴額(申立ての手数料を算出するための金額)に応じて、簡易裁判所(140万円以下)、又は地方裁判所(140万円超)になります。

まとめ

火災保険において、損害保険会社と裁判になった場合、管轄する裁判所は、原告になる保険契約者(被保険者)の居住地の裁判所になることが殆どです。

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