火災保険金の相続

今回の事例は、「火災で父親が亡くなり、自分自身と母親の二人が相続人になった場合、火災保険契約の帰属や具体的な請求方法はどうすれば良いの?」をテーマに解説させて頂きます。

火災保険金の相続の流れ

相続人が複数いるときは、共同相続人(今回の事例の場合は長男と母親)が共同して火災保険契約者の地位にたつことになります。

共同相続人の中から代表者を一人決め、その代表者が保険契約に関して他の保険契約者を代理して請求することになります。

代表者が決まっていない場合は、又はその所在が不明の場合には、保険者(保険会社側)が共同相続人のうちの一人を選択し、契約関係を処理する流れになります。

法的な解説

一般的な火災保険契約の約款では、保険契約者が死亡した場合について、下記の様な規定があります。

  1. 保険契約が失効する場合を除き、保険契約の権利及び義務が、死亡した保険契約者の死亡時の法定相続人に移転すること損害保険料率算出機構の約款39条)
  2. 保険契約者が2名以上である場合(要するに、相続人が複数で共同相続されることになった場合)は、保険者は代表者1名を定めることを請求することができ、かかる場合、代表者が他の保険契約者を代理するものとすること(損害保険料率算出機構の約款40条(1))
  3. 代表者が定まらない場合、又はその所在が不明な場合には、保険者が保険契約者の中の1名に対して行う行為は、他の保険契約者に対しても効力を有するものであること(損害保険料率算出機構の約款40条(2))
  4. 保険契約者が2名以上である場合は、各保険契約者は連帯して当該保険契約の義務を負うものであること(損害保険料率算出機構の約款40条(3))

なお、今回の事例と関連する判例として、①被相続人の死亡によって失効した保険契約の返戻金について、被相続人の相続財産に属すると判示したもの(東京地裁が平成18年2月17日に出した判決)や、②相続人による火災保険請求につき、相続人による当初の保険金請求手続きが遅滞していて、合理的理由が認められない場合は、信義則上、保険金の支払いが免責された判例(東京地裁の平成20年3月12日の判決)もあります。

まとめ

火災保険金の相続問題が発生した時は、基本的に法定相続人になる人が相続する事になります。手続き自体は難しくはありません。

具体的には、相続人が保険会社に連絡して、具体的な書類を送付してもらい、そこに必要事項や添付書類等を揃えて損害保険会社に提出する流れになります。

もし相続人が複数いた場合は、その法定相続人の中で話し合い、代表者を一人決めて、その代表者が保険金請求手続きを行い、後に保険会社が法定相続人に対して火災保険金を支払うことになります。

万が一、代表者が決まらなかった場合は、保険会社の方で相続手続きを行う代表者を一人決めて、その人と保険会社がやりとりします。

今回の結論は、「火災保険金の法定相続人が複数いる場合は、その中で代表者が他の相続人の代理として手続きする」という事になります。

ちなみに代表者になったからといって、火災保険金の取り分が増えるわけではありませんので、代表者になる経済的なメリットは特にありません。

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