告知義務

告知義務は、具体的にどんな事実について告知する必要があるのか?また告知の方法や主体にどんな制限があるのかを解説させて頂きます。

告知義務とは

告知義務とは、保険契約者又は被保険者は、保険者に対して契約締結に際して危険に関する事実を告げなければならず、又は重要な事項について不実の内容を告げてはならないということです。

告知義務の存在根拠については争いがあるのですが、保険事業は給付・反対給付均等の原則に従い、個々の保険契約の危険度に応じた保険料負担を求め、また、一定以上の危険度を超える場合には危険を引き受けないという基本原則に基づいて営まれています。

そのためには危険度に関する情報を収集して危険度を判定する必要がありますが(危険選択)、かかる情報は保険契約者側に偏っていて、保険者としては情報入手のために保険契約者側からの自発的な告知を受ける事が不可欠であることから、告知義務は保険者による危険測定の必要のために特に法律が課した義務であると解釈されています。

保険法においては、損害保険、生命保険、傷害疾病定額保険のそれぞれにおいて、保険契約者又は被保険者になる者が保険契約の締結に際して告知義務を負うと規定されています。

どんな事実を告知する義務があるの?

それでは「実際にどのような事実を告知する必要があるのか?」、「告知の方法や主体に制限があるのかどうか?」を解説してみたいと思います。

基本的に告知すべき事実は、損害保険契約によりてん補することとされる損害の発生の可能性(危険)に関する重要な事項のうち、保険者になる者が告知を求めたもの(告知事項)についての事実(保険法4条)です。

また、告知の方法は、理論的には口頭・書面どちらでもかまわないし、告知を行う事のみを指示された代理人でも大丈夫です。

1.告知すべき事実

具体的には、保険の目的物保険の目的物の所在地保険の目的物の所有者保険の目的物を収容する建物の種類・用途重複保険の有無などが考えられます。

過去の判例として、建物を他人に売却した後に自己の所有として保険契約を締結した場合に、告知義務違反を認めるとともに、他人のために保険契約を締結する場合において、保険契約者がその旨を申込書に記載しなかったときは、保険契約は無効とする旨の約款条項により、保険契約を無効とした水戸地裁の判例があります。

なお、告知すべき重要事実は保険契約者等が知っている事実に限定されるか否かという問題もあり、学説によると以下の2つの見解が存在し、意見の対立があります。

  1. 告知義務者にその知らない事実の探知義務まで課すことは告知義務の存在理由を逸脱するとして、知っている事実のみを告知すれば足りるとする見解
  2. 知らない事実でも、知らないことにつき重過失があれば、告知義務違反が成立し得るとする見解

2.告知の方法

保険法では、告知義務は質問応答義務とされていて、保険実務では保険者が告知書という書面に質問を列挙し、告知義務者はこれに回答するという形で告知義務が履行される事になっています。

3.告知の主体

告知は準法律行為なのですが、法律行為に関する規定が準用されることになるので、告知義務を代理人により履行する事も可能になっています。

しかし、保険者の告知書様式では、被保険者の告知は本人がすべき旨が記載されていることが通例で、被保険者の告知を代理人が行うことは望ましくないとされています。

代理人による告知をする場合には、告知義務者の指示により代理人が告知する場合を除いて、告知義務違反についての故意又は重過失は代理人に即して判断される事になります。

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