火災保険金が支払われる要件

火災保険契約において、保険金が支払われる要件とは何か?また、保険金支払債務はいつから履行遅滞(債務不履行)になるのか?をテーマに解説させて頂きます。

保険金が支払われる要件とは?

保険金が支払われる要件(保険者の保険給付義務)としては、以下の3つがあります。

  1. 保険期間内に契約で特定された保険事故が発生すること
  2. 保険事故の発生と因果関係のある損害が発生すること
  3. 契約で特定された保険者免責事由に該当しないこと

上記の要件については様々な論点があるので、当サイトの以下の記事を参照して頂ければ、それぞれの論点について、ある程度はご理解頂けると思うので、是非ご参照して頂きたいと思います。

①:保険事故の発生についての参照記事

損害の発生についての参照記事

免責事由についての参照記事

保険金支払債務は、いつから履行遅滞(債務不履行)になるの?

保険会社が支払うべき保険金支払債務や、それがいつから履行遅滞(債務不履行扱い)になるのか等は、基本的に約款で定められています。

保険法の21条は以下のとおりです。

保険給付を行う期限を定めた場合であっても、当該期限が、保険事故、てん補損害額、保険者が免責される事由その他の保険給付を行うために確認をすることが損害保険契約上必要とされる事項の確認をするための相当の期間を経過する日後の日であるときは、当該期間を経過する日をもって保険給付を行う期限とする。

上記の条文を要約すると、「保険金給付を実行する前に、必要な確認事項や必要な調査があるので、その調査を終えて、保険金給付に問題がないと判断されたその日から、保険金支払債務が発生する」という意味になります。

解説

1.履行遅滞の時期に関する約款の解釈と相当期間の考え方

例えば東京海上日動火災保険の約款には、以下の様に規定されている部分があります。

  1. 保険金支払請求が完了した日から30日以内に保険金を支払うために必要な一定事項の確認を終え、保険金を支払う
  2. 一定事項の確認のため、警察、医療機関などの専門機関への特別な照会、被災地における特別な調査等が必要である場合には、保険金支払請求の完了日から照会、調査の内容に応じて、30日よりも長い期間内(60日~180日)に保険金を支払うもの

約款で規定されている期限が相当期間よりも後でなければ、約款の規定に従って自動的に履行遅滞になる時期が決まるので、約款の解釈として、いつから履行遅滞になるかが問題となります。

そして、約款上の遅滞の時期が、「相当期間内であるかどうか」が問われることになるので、相当期間をどのような期間と考えるべきかが問題となります。

相当期間については、個々の保険金請求毎に判断すべきものではなく、契約の種類、保険事故の内容やその状態、免責事由の内容等に照らして類型的に判断すべきものとされています。

例えば、実際に調査に掛かった期間が相当期間より短い場合であっても、約款の規定が一定期間経過時を履行遅滞の時期と規定しているのであれば、その一定期間が相当期間を超える場合には、履行遅滞の時期は相当期間を経過する日になり、実際の調査終了時に履行遅滞になるわけではありません。

2.保険契約者等との間に履行遅滞に個別合意があった場合

約款の期限とは別に、具体的な調査の進行状態等に鑑みて、履行遅滞について、個別的に保険者・被保険者との間で合意がなされることも有り得ます。

この点について、従来の約款で定められた30日以内に調査を終えることが出来なかった保険者が、さらに確認すべき点があるので協力をお願いして、調査を迅速に進めて、結果が出れば保険金支払の可否についての最終判断を速やかに連絡する旨の協力依頼書を送付して、「被保険者が調査に協力をした」という場合に履行期を延期する合意を認めた判例があります。

3.調査妨害・不協力の場合

保険者が確認をするために必要な調査を行うにあたって、保険契約者等が正当な理由なく調査業務を妨害し、または調査に応じなかった場合には、保険者はこれによって保険給付を遅延した期間について、遅滞の責任を負わなくても良いことになっています。(保険法21条3項)

まとめ

今回は、法的な話なので、普段は意識することが無い話かもしれません。

話が難しくなってしまって申し訳ありませんが、何度が読んで頂くと理解度が進むと思います。

保険会社と保険金の支払いに関してトラブルにならないように、知識として持っておいて頂ければ嬉しく思います。

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