
今回は、火災保険における【保険期間】の定義を改めて考えてみたいと思います。
保険期間と責任期間が違う事による注意点も解説させて頂きます。
保険期間とは?
保険期間とは、保険法6条5号に「その期間内に発生した保険事故による損害をてん補するものとして損害保険契約で定める期間」と明記されています。
保険会社は、保険期間内に発生した保険事故にかかわる損害保険金のみ支払義務を負担します。
火災保険の保険期間は、開始時期は保険契約者が指定する任意の日ですが、通常その開始時刻はその日の午後4時(損害保険料率算出機構の「火災保険標準約款」の場合)となっています。
ただし、保険証券に明記すれば時間の変更が可能になっています。
また終了時期は、1年契約なら1年後の末日の午後4時までとなります。
期間計算は初日不算入の原則を考慮すると、例えば令和2年1月1日午後4時開始の1年契約の場合、令和3年1月1日午後4時が終了期となります。
なお、共済の場合は、これとは違うルールになっている商品もあるので、それぞれ確認する必要があります。
以前は最長で36年の火災保険に加入出来たのですが、現在では最長でも10年が限度になっています。
これは自然災害が多発している現代のため、最長36年の危険(リスク)測定が難しいからです。
注意点は?
注意すべきことは、保険期間と責任期間が違う点です。
責任期間とは、文字通り保険会社が保険金の支払い責任を負担する期間のことです。
通常は、「保険期間=責任期間」ですが、保険期間後でも保険料が支払われるまで責任期間は発生しません。
この約款条項を、責任開始条項といいます。
保険料が長期一括払の場合は問題となることは少ないですが、分割払いの場合、分割保険料の不払い(自動振替・クレジットの分割払において、残高不足で引き落としが出来ない場合等)によって責任期間に空白が出来てしまうので、実務上は多くの無責事案が発生していて、約款上の救済措置に関して紛争が起きてしまう事があるので注意が必要です。