
「火災保険の対象を建物にした場合、擁壁や垣根も保険の対象に含まれるのでしょうか?」という疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?
今回は、そんな疑問に簡単にお答えします。
垣根は火災保険の対象になります
まずは約款上の定義から確認していきましょう。
損害保険算出機構の「火災保険標準約款」の1条によると、「建物」とは、「土地に定着し、屋根および柱または壁を有するものを言い、門、塀、垣、タンク、サイロ、井戸、物干等の屋外設備や装置を除きます。」と書いてあります。
ここでいう「屋外設備・装置」というのは、「門、塀、垣、タンク、サイロ、井戸、物干等で建物に直接付属しないもの」という意味です。
したがって、擁壁や垣根はどちらも建物に含まないですが、垣根は屋外設備・装置に含まれる事になります。
その一方で、損害保険算出機構の「火災保険標準約款」の4条(4)には、以下の様に書いてあります。
建物が保険の対象である場合に、次に揚げる物のうち、被保険者の所有するものは、特別の約定がないかぎり、保険の対象に含まれます。
④問、塀もしくは垣または物置、車庫その他の付属建物
と規定しているので、垣根は屋外設備・装置ではあるのですが、建物を保険の対象とする火災保険においては、保険の対象として取り扱われます。
擁壁は火災保険の対象になりません
※擁壁(ようへき)とは、崖などの崩壊を防ぐための「土留め」として、コンクリートブロックや石などを使った「壁状の構造物」のことを指します。
擁壁(ようへき)に関しては、「建物」にも「屋外設備・装置」にも該当しないので、保険の対象にはなりません。
東京海上日動火災保険約款の「住まいの保険普通保険約款」を例に確認しても、明確に「屋外設備装置」には、「擁壁及び土地の崩壊を防止するための構造物を含みません」と書いてあります。
ただし、もし擁壁が崩れて建物に損害が生じた場合は、当該建物について火災保険の支払の可能性はゼロでは無いと考えるのが良いでしょう。
なお、損害保険算出機構の「火災保険標準約款」では、「垣」としか書いてないので垣根を含むか賛否が分かれている部分もありますが、東京海上日動火災保険約款には、「垣には、生垣を含みます。」と注記されているので、垣根も含まれると考えても大丈夫でしょう。