保険代位のいろいろな豆知識

今回は、保険代位の様々な豆知識を解説します。例えば、「代位権の不行使特約」、「代位債権の時効」、「代位権行使の時の弁護士費用」などについてご紹介します。

代位権の不行使特約とは?

代位権不行使特約とは、保険約款において、保険者が代位取得した権利を一定の条件のもと、行使しないことができる特約を意味します。

代位権不行使特約の解説

火災保険約款において、代位権の不行使特約が規定されている具体例としては、例えば賃貸建物が借家人の悪意又は重過失がなくて焼失してしまった場合を想定し、このような場合に大家が借家人に対する代位求償権を放棄する場合(賃貸人である大家が被保険者)が挙げられます。

要するに、「家賃を支払っている貸借人の過失(ミス)で焼失してしまった場合は、大家(被保険者)は保険会社からの保険金をもらえれば良いので、それに足して、さらに「貸借人に対しての賠償請求を目的」として保険会社に代位する権利は放棄(無く)しても良い」という趣旨です。

このような不行使特約の解釈が問題になった判例(東京高裁:平成11年10月28日)は、火災保険における代位権不行使の例外と位置づけられている借家人の重大な過失の意味について、失火責任法の「重大ナル過失」と同様に、通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、簡単に違法有害な結果を予見することができた場合なのに、漠然とこれを見過ごしたような、ほとんど故意に等しいとして、注意欠如の状態を意味すると判示しています。

つまり、出火の原因が過失(致し方ないミス)の場合は保険会社は代位権を行使して、被保険者の代わりに損害賠償訴訟は基本的に行わない(代位権の不行使)ですが、「出火が予見できるほどの状態なのに、それを見過ごした結果、焼失被害につながった場合は、保険会社は被保険者から保険代位をして、被保険者の代わりに損害賠償しますよ」という趣旨になります。

代位債権の時効は?

保険者が取得する被代位債権にも時効が定められていることをご存じですか?

改正民法に基づく被代位債権が、不法行為に基づく損害賠償請求権であった場合には、改正民法724条により、被害者が損害とその加害者を知った時(一般的には事故当日のこと)が起算点となり、この日から3年が経過すれば、被代位債権の消滅時効が完成することになります。

また、被代位債権が債務不履行に基づく損害賠償請求権だった場合には、改正民法166条1項により、被害者が当該権利を行使することができることを知った時を起算点として、この日から5年が経過した場合、あるいは同条の2項によって被害者が当該権利を行使することができる時を起算点として、この日から10年が経過した場合、被代位債権の消滅時効を迎えます。

代位権行使の時に掛かる弁護士費用は?

保険者が代位取得した被保険者債権を実際に行使しようとして、弁護士に委任した場合、それに掛かった弁護士費用はどちらが負担するかご存じですか?

今までの求償請求の判例の多くでは、弁護士費用については、「不法行為と相当な因果関係のある損害として、相手方に請求し得るものではない」と判示されています。

つまり、弁護士費用については保険代位した側で、みずから負担することになります。

まとめ

今回は、保険代位に関連した豆知識を解説させて頂きました。

保険代位の意味をなんとなく分かって頂きましたでしょうか?

時効の存在や弁護士費用の件も説明させて頂きましたので、この情報がいつか皆さんの役に立つときがあれば幸いです。

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