
今回は、フルローンを組んで不動産投資するのは、リスクが高いイメージがあるけど、実際はある指標を物差しにすればそれほど危険ではないことを解説します。
フルローンはリスクが高いの?
不動産投資をはじめるなら、物件購入価格の2割以上の自己資金を持っているのが理想的ですが、人によっては親から相続した土地や株式が有り、担保価値のある物はあるけど現金がないパターンの人がいます。
この様な人の場合、フルローンの融資によって不動産投資に挑戦する選択肢が出てきます。
世の中には、フルローンやオーバーローン融資を受けながら不動産投資でキャッシュフローを得ている人達も結構います。
フルローン融資は、「大きな金額を借りる事になるので、リスクが高いのでは?」と心配になる人も多いと思いますが、実際の数値を比較しながら検証してみたいと思います。
重要な指標は、【キャッシュフロー】と【返済比率】の2つに注目して検証してみましょう。
まず、前提条件を以下の様に統一して考えます。
- 経費率25%
- 空室損失のリスク10%
自己資金2割で購入した場合
まずは自己資金を購入価格の2割入れた場合の事例です。
価格 | 構造 | 利回り | 築年数 | 地域 |
1億円 | RC構造 | 8.5% | 19年 | 関東 |
自己資金 | 融資金額 | 融資期間 | 金利 | |
2000万円 | 8000万円 | 28年 | 1.5% |
上記の条件の場合、年間のキャッシュフローが約170万円、返済比率が約45%という数値になります。
フルローンで購入した場合
次に自己資金がゼロのフルローンで購入した場合の事例です。
価格 | 構造 | 利回り | 築年数 | 地域 |
1億円 | RC構造 | 12.5% | 22年 | 関東 |
自己資金 | 融資金額 | 融資期間 | 金利 | |
0円 | 1億円 | 25年 | 1.5% |
上記の条件の場合、年間のキャッシュフローが約330万円、返済比率が約40%という数値になります。
比較の結果
2つの事例を比較してみると、フルローンで購入したケースの方がキャッシュフローも2倍近い数値で、さらに返済比率も低い結果になっています。
現実の不動産投資ビジネスの世界でも、この様な事例が沢山あります。
大切な事は、【キャッシュフローがどのくらい出るのか?】と【返済比率が4割程度の水準かどうか?】です。
自己資金があったとしても、キャッシュフロー(利回り)が少ないという事は、割高な物件を購入しようとしているということなのです。
まとめ
今回、私が申し上げたい事は、【フルローンだからリスクが高い】というのは間違いであるということです。
フルローンで購入したとしても、高利回りでキャッシュフローを多く得る事ができ、返済比率も適正な範囲に収まっていれば、頭金を入れるかどうかは本質的には関係無いのです。
大切な事は、キャッシュフローと返済比率です。
もしあなたがフルローン融資を検討しているなら、金融機関は以下の2点を総合的に評価して、最終的に融資の可否を判断することになります。
- 融資の申込者の属性(職業、年収、資産状況など)が良好な状態であること
- 購入希望の物件に、十分な担保価値があること
あなたの属性が良くなかったり、物件の担保価値が低かったりすると、フルローン融資は受けられないので、上記の2点をクリアしそうな状態であるなら、可能性も広がると思います。
注意!【フルローン融資OK→即購入】は慎重に!
もしフルローン融資が受けられることが分かった時、あなたは購入予定の物件をすぐに購入しても良いわけではないことも理解しておく必要があります。
というのも、【フルローン融資OKの物件=価値がある】とは限らないからです。
「銀行がフルローン融資OKだったから、価値のある物件だと思って購入した」という人が多いのですが、最も大切な事は、その収益物件がどのくらいのキャッシュフローを生み出すのか?に焦点をあてることです。
つまり、【金融機関からフルローン融資の許可が出たこと】と、【その物件がキャッシュフローを潤沢に生み出せる事】を同じ意味と考えてはダメなのです。
金融機関は、安定した職業や収入の高い人、あるいは金融資産を十分に保有している人には、融資審査が甘い傾向があります。
つまり、属性の高い人であれば、キャッシュフローの出ない不動産物件でもフルローン融資を受ける事が出来てしまうケースがあるのです。
投資家の本来の目的は、融資を受ける事ではなく、収益を獲得することです。
不動産を買う事は収益を獲得するための手段であり、目的にしてはいけません。
不動産投資の目的は、収益をあげる(キャッシュフローを得る)ことであり、そのための手段としてのフルローン融資に過ぎないことを理解することが大切です。