
不動産投資というのは、賃貸経営をしている期間中の「家賃収入」だけではありません。
いつかは、その保有している収益物件を、最適なタイミングで1円でも高く売却し、購入時よりも高く売却することによって、売却益を得ることも、不動産投資家として立派なビジネス手法なのです。
あなたが今、不動産投資家として成功を考えているのであれば、不動産投資を実践していく過程で、ある時期に物件の売却を検討するタイミングがくるはずです。
今回は、そんな不動産投資における【しっかり儲けるための出口(売却)戦略】を中心に解説させて頂きます。
不動産投資の出口戦略の4つの手段
不動産投資の最も王道な出口戦略は、その不動産の「売却」です。
他の手段としては、「更地売却」、「スクラップ&ビルド」「更地の有効活用」の手段が考えられます。
この出口戦略をどう考えていくかで、不動産投資が成功するか否かが決まると言っても過言ではありません。
次に、上記で挙げた4つの方法について、それぞれ簡単に解説します。
方法①:不動産の売却
物件自体を売却し、その売却益を獲得する方法です。
保有期間中のキャッシュフローと売却益が、残債(フルローン融資の場合)を上回っていれば、その投資は成功したと判断できます。
なお、売却物件を購入しようとする人の8割以上が融資を利用しています。
売却のタイミングや、物件の残存年数など、次の買主が融資を受けやすいかどうかも考慮しておく必要が大切です。
方法②:更地売却
既存の建物を取り壊し、その場所を更地にして売却する方法です。
その場所が住宅地であれば、戸建分譲地としてデベロッパーに売却できる可能性も高くなります。
既存建物のキャッシュフロー、建物の解体費用、更地売却価格などを、総合的に判断する必要があります。
方法③:スクラップ&ビルド
既存の建物を取り壊し、そこに新しい建物を建築し、収益を得る方法です。
既存の建物のキャッシュフロー、建物の解体費用、新築建物の建築費とキャッシュフローなどを、総合的に判断します。
方法④:更地有効活用
既存の建物を取り壊し、その土地を有効活用する方法で、立地が良ければ、土地を第三者に貸し出すことにより、地代(収益)を得ることができます。
1円でも高く物件を売却する方法とは?
不動産は、購入したときが一番価値が高く、時間の経過とともに徐々に価値は下がり、売却時の価格は購入価格よりも下がるのが一般的なケースです。
しかし、「物件を安く仕込む」ことによって、売却価格が購入価格よりも高く売却できなければ、不動産投資の意味はないと個人的に思います。
もし安く仕込むことができれば、保有期間中は高い利回りでキャッシュフローを潤沢に創出してくれるし、売却したときは「売却益」までもたらしてくれるのです。
つまり、「購入時にある程度勝負がついている」のです。
ただし、どんなにベテランの不動産投資家でも、常に売却益を得られるとは限りません。
そこで、少しでも売却益を得られるような状況、つまり「高値で売却できる」ようになるために、知っておくべき3つのポイントをご紹介します。
ポイント①:満室にする
新しい買い手にとって「買いやすい物件」に見せる必要があります。
具体的には、金融機関が融資しやすい物件ということです。
その答えは、ズバリ「満室経営」にしておくことです。
金融機関は、その時点での稼働率をベースにして物件の評価を行います。
もし空室があった場合、確実にマイナス要因になりますので、売却を検討しているオーナーは、絶対に満室経営にこだわって戦略をたてて下さい。
ポイント②:共用部分の維持管理
もし買主が現地を視察に来たとき、経年劣化などによって、外壁や共用部分が汚かったりすると、「購入してもすぐに修繕費が掛かってしまう」と思われ、買主から値引き交渉を提案される可能性が高まります。
このような事態は避ける方が良いので、共用部分の清掃などを常に徹底して行い、清潔感のある状態をキープしておくことが大切です。
外壁塗装などの比較的規模が大きい修繕については、費用対効果をよく考えてから実行してください。
逆に言えば、費用対効果が低い場合は行わないこともアリです。
ポイント③:売却のタイミングを正しく見極める
不動産価格は、金融機関の融資スタンスに大きく影響を受けます。
融資が積極的な時期には不動産価格が高騰するので、そのタイミングを見極めて売却を実現させると、売却益を得られるような結果になるケースもあります。
常にアンテナを張って、不動産市場の動向を観察しておく習慣を身につけておきましょう。
収益物件の売却をするか?しないか?の目安の数字はこれ!
不動産投資は、基本的にキャッシュフローを重視すべきですが、常に売却の事も意識しておくことも重要です。
なぜなら、売却益を得ることによって、自分の金融資産を増やすことができるからです。
不動産投資を長期的に考えていく場合、「金融機関からの融資を受け続けられるような人」でいなければいけません。
そのためには、
- 少しでも多くの金融資産を保有しておくこと
- 不動産投資家として、黒字経営の実績を積み重ねること
が必須の条件となってきています。
不動産投資で成功している私の叔父(本業は歯科医)の場合、いままでに複数の物件を売却してきましたが、その売却物件の全てが、「初期投資額の115%以上」の価格で売却しています。
115%という数字は、絶対的なものではありませんが、私の身近な人間の成功例だと、この初期投資額の115%以上で売却する事が、ひとつの目安と考えても良いでしょう。
余談ですが、その物件を保有している期間中は、十分なキャッシュフローが得られていたので、実際のトータルの利益は、当然ですが投資額の115%を大きく上回っています。
売却時に気をつけるべき最重要ポイント!
特に新築物件のオーナーに多いのが、以下のステップを経ている場合です。
- 土地検索
- 資金計画
- 建築会社を選ぶ
- 建物の設計
- 工事の準備
- 着工
- 入居者募集
- 完成
この様なステップを経ていくと、その建物自体に愛着がわいてしまう事です。
保有している不動産物件に愛着を持ってしまうと、利益が最大化する最も適切なタイミングでの売却がしにくくなってしまいます。
ビジネスとして考えた場合、大きなチャンスを失ってしまうことになりかねません。
自分が考えに考え抜いて購入した物件なので、愛着をもつこと自体は理解出来ますが、物件に愛情をもってしまうと、冷静な判断ができなくなります。
最高の売却のタイミングを逃したり、必要以上にコストをかけて修繕するなど、不動産投資家として負け組になってしまうのです。
優秀な不動産投資家は、保有物件に愛着は持たずに、常に客観的で最適な売却のタイミングをはかっているのです。
金融機関の融資が積極的な時期を、絶対に逃してはいけません。
まとめ
今回のまとめは以下のとおりです。
- 1円でも高く売却する最大のコツは、購入時に「物件を安く仕込む」こと
- 売却時は「満室を目指す」、「共用部分の維持管理」、「売却のタイミングを見極める」の3つのポイントを意識することが大切
- 売却の意思決定の目安は、「初期投資額の115%以上で売却できること」を目安に判断する
- 売却活動の時に気をつけることは、「その物件に感情移入しない」、「タイミングが最重要」を意識する